「情報は置いた。あとは好きに見てください」というWebデザイン

Webサイトは、閲覧者を案内するものだと思われています。

どこをクリックすればいいのか。次に何を見ればいいのか。どんな情報が重要なのか。

迷わせないために、さまざまな工夫が施されています。

でも、いくつかのWebサイトを観察していて、まったく違う姿勢に惹かれました。

必要な情報は、ちゃんと置いてある。

それ以上の説明も、誘導も、ほとんどない。

「情報は置きました。あとは好きに見てください。」

そんな態度です。

これは不親切なのでしょうか。それとも、閲覧者を信頼しているのでしょうか。

案内しないことは、不親切なのか

一般的なWebデザインでは、閲覧者を迷わせないことが重視されます。

情報には優先順位をつけ、ボタンは目立たせ、次の行動が分かるように設計します。

もちろん、それは大切なことです。

でも、すべてのWebサイトが、閲覧者を目的地まで案内する必要はあるのでしょうか。

必要なものは、すでに置いてある

今回観察したサイトには、活動内容、作品、経歴、連絡先など、必要な情報がきちんと用意されているものがありました。

ただし、「まずこれを見てください」「こちらがおすすめです」といった積極的な誘導はありません。

情報は並んでいる。

閲覧者は、その中から気になるものを選ぶ。

案内が少ないことと、情報が足りないことは別です。

必要なものが見つかるのであれば、必ずしも手取り足取り説明する必要はないのかもしれません。

閲覧者にも、仕事がある

特に印象的だったのは、スクロールするだけで情報を集められるサイトです。

複雑な操作は必要ありません。

画面を下へ進めながら、気になるものを見つけていく。

やることが、とても明確です。

どこを見るかは、自分で決める

Webサイトには、作り手の仕事があります。

情報を用意すること。見つけられる状態にすること。必要な操作ができるようにすること。

でも、閲覧者にも仕事があります。

何に興味を持つか。

どの情報を読むか。

どこまで見るか。

それを自分で決めることです。

作り手がすべてを決めなくても、閲覧者は自分で選べます。

むしろ、選択を任されることで、自由に探索できる場合もあります。

「何もしない」と「任せる」は違う

ただし、ここには大きな違いがあります。

情報が整理されていない。操作方法が分からない。必要なものが見つからない。

そんな状態を「自由に見てください」と言われても、閲覧者は困ってしまいます。

任せるためには、準備が必要

閲覧者に選択を委ねるには、最低限の準備が必要です。

例えば、スクロールすれば情報が続いていること。

クリックできるものが分かること。

作品を見たい人が作品にたどり着けること。

連絡したい人が連絡先を見つけられること。

こうした基本的なことが成立していれば、過剰な説明がなくても閲覧者は動けます。

任せることは、放置することではありません。

必要な環境を整えたうえで、選択を相手に渡す。

そこに、静かな親切さがあるように思います。

説明しすぎないことも、ひとつの態度

Webサイトを観察していると、ときどき説明の多さが気になることがあります。

何を見てほしいのか。

なぜ見てほしいのか。

次に何をすべきなのか。

もちろん、説明が必要な場面はあります。

でも、説明が増えるほど、必ずしも理解しやすくなるわけではありません。

作り手と閲覧者は、対等でいい

作品を見せるサイトなら、作品を置いておけばいい。

経歴を伝えるサイトなら、経歴が分かればいい。

その先で何を感じるかまで、作り手が決める必要はありません。

「これが私の活動です。あとは好きに見てください。」

そんな距離感には、閲覧者を必要以上にコントロールしない姿勢があります。

もちろん、情報を明確に伝える必要があるサイトでは、丁寧な案内が欠かせません。

それでも、すべてのWebサイトが同じように話しかける必要はないはずです。

説明することと、分かることは別。

そして、案内することと、親切であることも、必ずしも同じではないのだと思います。

【まとめ】選択を委ねるWebデザイン

今回のサイト観察で惹かれたのは、装飾の少なさでも、ミニマルな見た目でもありませんでした。

必要なものを用意したうえで、それ以上は閲覧者に任せるという態度です。

作り手は、情報を置く。

閲覧者は、興味のあるものを選ぶ。

どちらかが一方的に主導するのではなく、それぞれが自分の役割を持っている。

もちろん、任せることと放置することは違います。

情報が見つからなければ困るし、操作が分からなければ自由に選ぶこともできません。

だからこそ、必要なことはきちんと用意する。でも、必要以上には介入しない。

そんなWebデザインに、私は親切さを感じます。

「情報は置いた。あとは好きに見てください。」

それは冷たい言葉ではなく、閲覧者への信頼なのかもしれません。

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