「何もしない」が成立するWebサイトの条件

ブルータリズムWebサイトを観察していると、文字や画像を大胆に配置した、強烈なデザインに出会います。

巨大な文字。荒い画像。不揃いなレイアウト。

ところが、その一方で、驚くほど簡素なサイトもあります。

画像を置いているだけ。

文字を並べているだけ。

目立ったアニメーションも、凝った装飾もない。

それなのに、悪くない。むしろ好きだと思うことさえあります。

ブルータリズムの魅力は、派手さや過激さだけではないのかもしれません。

今回は、ブルータリズムWebサイトの観察から生まれた、「何もしない」ように見えるデザインが成立する理由を考えます。

「何もしない」は、本当に何もしていないのか

まず考えたいのは、装飾が少ないことと、デザインされていないことは同じなのか、という問題です。

見た目が簡素だからといって、制作上の判断まで少ないとは限りません。

置くだけでも、選択は残る

例えば、画像を一枚表示するだけのWebサイト。

一見すると、ほとんどデザインされていないように見えます。

でも、画像の大きさはどうするのか。

画面いっぱいに広げるのか。余白を残すのか。

中央に置くのか。端に寄せるのか。

次の画像へはどう移動するのか。

何も足さなくても、決めなければならないことは残っています。

装飾をしないことも、ひとつの選択です。

そして、必要以上に手を加えないという判断にも、デザインは存在するのだと思います。

何を足すかではなく、何を残すか

ブルータリズムWebデザインには、文字や画像、リンクといったWebの基本的な要素を、過度に装飾せず見せる表現があります。

リンクはリンクのまま。文字は文字のまま。

それらを洗練された装飾で包み込まず、剥き出しに近い状態で置いておく。

こうした表現では、何かを加えることよりも、何をそのまま残すかが重要になる場合があります。

余計なものがないから、見えるもの

作品を見せたいのであれば、作品そのものが十分に強い場合があります。

写真を見せたいなら、写真を置く。

文章を読ませたいなら、文章を置く。

それ以上の演出がなくても、目的を果たせることがあります。

むしろ装飾を加えることで、見せたいものから注意が逸れてしまう場合もあるでしょう。

何を足せば魅力的になるかではなく、何を残せば成立するのか。

そう考えると、デザインの方向が変わります。

足すことだけが、完成度を高める方法ではないのだと思います。

シンプルなサイトほど、素材が見える

装飾が少ないWebサイトでは、文字や画像がそのまま画面の印象を作ります。

背景や動きで雰囲気を補わないぶん、素材そのものが目立ちます。

これは、Webの要素を剥き出しに見せるブルータリズムの表現とも重なる部分です。

ごまかさない見せ方

写真が並んでいれば、その写真の色や構図がサイト全体の表情になります。

文字だけのページなら、フォントや行間、文字量がそのままデザインになります。

余白が大きければ、その余白も強く意識されます。

何もしていないように見えるサイトほど、実はひとつひとつの要素が目立つのかもしれません。

ただし、素材が強ければ必ず成立するわけではありません。

画像の順番や配置が悪ければ、魅力が伝わらないこともあります。

飾らないことは、ごまかせないことでもある。

シンプルな見た目は、必ずしも簡単なデザインではないのでしょう。

「何もしない」と「手抜き」の境界線

では、装飾のないWebサイトと、単に作り込まれていないWebサイトは何が違うのでしょうか。

ここは見た目だけでは判断しにくいところです。

足さない理由があるか

例えば、画像をただ並べたサイトがあったとします。

作品そのものを見せるために、余計な演出を省いたのかもしれません。

一方で、何も考えずに画像を並べただけなのかもしれません。

画面だけを見て、作り手の意図を断定することはできません。

ただ、閲覧者としては、その見せ方が機能しているかを考えることができます。

作品を見られるか。

必要な情報にたどり着けるか。

余計な演出がないことで、何かが際立っているか。

「何もしない」ことによって、何が成立しているのか。

そこに注目すると、簡素なデザインをもう少し丁寧に評価できる気がします。

ブルータリズムだから何もしなくていい、というわけではありません。

装飾を省くことにも、残すことにも、それぞれの判断があります。

【まとめ】何もしないことも、デザインになる

今回、ブルータリズムWebサイトを観察していて気づいたのは、強烈な表現だけが魅力ではないということでした。

画像を置くだけ。

文字を並べるだけ。

そんな簡素な見せ方にも、惹かれることがあります。

そして、その魅力はブルータリズムに限ったものではありません。

どんなWebサイトでも、何を足すかだけでなく、何を残し、何をしないかという選択があります。

もちろん、何もしなければ自動的に良いデザインになるわけではありません。

必要な情報が欠けていたり、見せたいものが伝わらなかったりすれば、単なる不足になることもあります。

それでも、何かを加えなければデザインにならない、というわけではない。

必要なものが、必要な形で置かれている。

それだけで成立するWebサイトもあります。

何もしないように見えることと、何も考えていないことは違う。

ブルータリズムの静かな一面から、そんなことを考えました。

← Research Notes ← Home