Webデザインを見ていると、画面いっぱいに文字を配置したサイトによく出会います。
ファーストビューに巨大な英字。画面からはみ出すほど大きなタイトル。写真よりも文字そのものを主役にしたデザイン。
私も以前なら、こういうサイトを見て素直に「かっこいい」と思っていた気がします。
ところが最近、巨大な文字を見ても、それだけではあまり何も感じなくなりました。
日本のWebサイトを200以上、海外のサイトを600以上見てきた影響もあるのかもしれません。
巨大な文字そのものより、
「なぜ、この文字はこんなに大きいんだろう?」
と考えるようになりました。
今回は、巨大フォントが悪いという話ではありません。
たくさんのWebデザインを見るうちに、自分の見方がどう変わったのかを考えてみます。
巨大フォントはやっぱり目を引く

巨大な文字には、強い力があります。
ページを開いた瞬間に視界へ入り、写真や細かな文章を見る前に、そのサイトの印象を作ります。
特にミニマルなWebサイトでは、写真や装飾をたくさん使わなくても、文字の大きさだけで画面に強弱を作れます。
文字そのものをビジュアルにできる
文字を大きくすると、それは単なる「読むための文字」ではなくなります。
文字の形、太さ、余白との関係まで含めて、一つのグラフィックとして見えてきます。
だから巨大フォントは、少ない要素でも画面を成立させやすい表現なのだと思います。
実際、私も大きな文字を使ったWebデザイン自体は今でも好きです。
ただ、たくさんのサイトを見るうちに、「文字が大きい」という事実だけでは驚かなくなりました。
「大きい=かっこいい」ではなくなった

今回あるサイトを見始めたきっかけも、巨大な文字でした。
最初に目を引かれたのは間違いありません。
でも、そのあとサイトを見ていくうちに、巨大な文字そのものへの興味はすぐに薄れていきました。
見慣れると、その次を見るようになる
これは巨大フォントに限らないのかもしれません。
最初は新鮮だった表現も、何十回、何百回と見れば珍しくなくなります。
すると私は、
なぜ大きくしたのか。
大きくしたことで何が伝わるのか。
その文字を見たあと、どこへ視線が向かうのか。
そんなことを見るようになりました。
巨大フォントには、もちろん「目を止める」という役割があります。
でも、目が止まったあとに何もなければ、私にとっては単なる大きな文字で終わってしまいます。
| 見るポイント | 以前 | 今 |
|---|---|---|
| 巨大な文字 | 大胆でかっこいい | なぜ大きいのか気になる |
| 強いファーストビュー | インパクトがある | その後どこへ導くのかを見る |
| 珍しいレイアウト | 新鮮に感じる | 表現の意味を考える |
| 派手な演出 | 面白い | コンテンツとの関係を見る |
Webサイトを見る量が増えると、好みだけではなく、見る場所そのものも変わっていくのかもしれません。
巨大フォントにも役割があるはず

だからといって、巨大フォントを使う意味がないとは思いません。
ブランド名を強く印象づけたいサイト。
短いメッセージを最初に伝えたいサイト。
文字そのものの造形を世界観として見せたいサイト。
そう考えると、巨大フォントが効果的な場面はいくらでもありそうです。
大きさではなく「なぜ」が気になる
今の私が気になるのは、フォントサイズそのものではありません。
その大きさに理由を感じられるかどうかです。
例えば、最も伝えたい一言だから大きい。
写真より言葉を主役にしたいから大きい。
小さな文字との強烈なコントラストを作るために大きい。
そうした意図が画面全体から感じられれば、巨大な文字は単なる流行ではなく、そのサイトに必要な表現として見えてきます。
逆に、どのサイトでも同じように巨大な英字が置かれていると、「なぜこのサイトでもこの表現なんだろう」と考えてしまいます。
表現を見慣れたからこそ、その表現を選んだ理由が気になるようになったのかもしれません。
たくさん見ると「新しい」より「必要か」を見るようになる

Webデザインを見始めた頃は、自分が知らない表現に出会うこと自体が面白かったです。
巨大な文字も、変わったスクロールも、崩したレイアウトも、それだけで新鮮でした。
でも、たくさん見ると、その感覚は少しずつ薄れていきます。
その代わりに出てきたのが、
「これは何のためにあるんだろう?」
という疑問でした。
これは少し寂しい変化にも見えます。
以前なら素直に「かっこいい」で終われたものを、いちいち考えるようになってしまったからです。
ただ、Webデザインを研究するという意味では、悪い変化でもない気がしています。
表現の珍しさではなく、その表現とコンテンツの関係を見るようになったからです。
【まとめ】表現に慣れると理由が見たくなる

巨大フォントは、今でも強いWebデザイン表現だと思います。
画面を一瞬で支配できて、文字そのものをビジュアルとして使える。
それでも私は、巨大な文字を見ただけでは以前ほど「かっこいい」と思わなくなりました。
おそらく、見慣れたからです。
そして見慣れたことで、次の部分を見るようになりました。
なぜ大きいのか。
その大きさは何を伝えているのか。
目を引いたあと、コンテンツへどうつながるのか。
たくさんのWebサイトを見るというのは、単にデザインの知識を増やすことではないのかもしれません。
見る量が増えるほど、表現そのものではなく、「なぜその表現を選んだのか」を考えるようになる。
最近、自分がWebサイトを見るときに感じる違和感は、そこから生まれているのかもしれません。