Webサイトを眺めていると、帯状の要素が動くデザインに出会うことが増えました。縦に流れるテキスト、横に走るコピー、スクロールと逆向きに動くUIなど、動き自体はすでに珍しいものではありません。
その中でも、明確に「読むこと」を壊している表現があります。
それが、帯が左右で別方向に動くデザインです。
本記事では、動く帯全般の是非ではなく、左右別方向に動く帯だけに焦点を当て、その何が致命的なのかを情報設計の視点から整理していきます。
この記事は、好みや感覚の話ではなく、読解構造がどこで破壊されるのかを言語化するためのコラムです。
左右別方向に動く帯が、読解を壊す理由

左右別方向に動く帯が問題になるのは、派手だからでも、うるさいからでもありません。人が文章を読む仕組みそのものに反している点にあります。
視線の基準点が消える
文章を読むとき、人の視線は無意識に一定方向の流れを作り、その流れを基準に意味を処理しています。そこに左右で逆向きに動く帯が現れると、視線の基準点が分断され、どこを起点に読めばよいのかが分からなくなります。
| 状態 | 読解への影響 |
|---|---|
| 動きがない | 視線が安定する |
| 同方向の動き | ある程度補正できる |
| 左右別方向の動き | 判断が停止しやすい |
この状態では、内容以前に「読む姿勢」を維持できません。左右別方向の動きは、読者から読む主導権そのものを奪ってしまいます。
左右別方向に動いた瞬間、帯は情報ではなくなる

帯は本来、情報を支えるための補助的な存在です。しかし、左右別方向に動いた瞬間、その役割は完全に変質します。
帯が主役になったときに起きること
左右別方向に動く帯は、内容を補足するどころか、常に視界に入り続けます。その結果、読者の注意は文章ではなく、動きそのものに奪われます。
- 文章を追っている途中で視線が引き戻される
- 読解のリズムが強制的に中断される
- 情報を判断する前に疲労が発生する
これは「読ませるための工夫」ではありません。
情報の前に、負荷を置いている状態です。
帯が左右別方向に動くとき、それはUIではなく演出になります。そして演出が前に出たページは、情報としての信頼を失っていきます。
なぜ左右別方向に動く帯が量産されるのか

この手法は、特に企業サイトや採用サイトで多く見られます。その背景には、作り手側の不安があります。
静かであることに耐えられない心理
左右別方向に動く帯が選ばれる理由は、だいたい次のようなものです。
- 画面が静かだと不安になる
- デザインしている感を出したい
- 余白を放置する勇気がない
しかし、その結果として起きているのは逆効果です。
| 作り手の意図 | 実際に起きていること |
|---|---|
| 印象を残したい | 不快感だけが残る |
| 情報を伝えたい | 情報に辿り着かない |
| 動きを付けたい | 信用を失う |
情報は、安心して読める環境でしか受け取られません。左右別方向に動く帯は、その前提条件を自ら壊してしまいます。
【まとめ】左右別方向に動いた瞬間、読む理由はなくなる

- 左右別方向に動く帯は、視線の基準点を破壊します
- 帯が主張した瞬間、情報は後回しになります
- 左右で動く帯は、UIではなくノイズです
帯が左右別方向に動きだしたら、読むのをやめていい。
それは感情的な拒否ではなく、合理的な読者判断です。
