ブルータリズムWebデザイン(Brutalist Web Design) は、近年クリエイターの間で再注目されている大胆なデザイン手法です。
あえて粗さや無骨さを残し、情報を“そのまま出す”スタイルは、ミニマリズムとは異なる魅力があります。
本記事では、ブルータリズムの歴史・背景・特徴・実装ポイントを詳しく解説し、ミニマリズムとの比較も行います。Web制作者が、独自の表現を探すうえで役立つ内容です。
ブルータリズムWebデザインとは何か

ブルータリズムWebデザインとは、意図的な無骨さ・粗さ・飾らなさを特徴とする表現手法です。
HTMLが持つ素の質感や、UIコンポーネントの既定デザインをあえて残すことで「装飾ではなく情報そのもの」を晒すような印象を与えます。
ブルータリズムの思想には「ユーザーをコントロールしない」というスタンスも影響しています。
案内過多の日本的UIとは対照的で、
“理解できなくてもいい”
“好きに触れてくれればいい”
という距離感が心地良いと感じるユーザーも多いです。
ブルータリズムの基本的特徴
ブルータリズムの根本には“素材のまま出す”という思想があります。以下は主な特徴です。
- 既定フォントや粗いタイポグラフィをそのまま使用
- 極端なコントラスト・単色背景
- グリッド感を崩したレイアウト
- 意図的に荒いボタンやリンクの配置
これらは手抜きではなく、あくまで「情報の美」を追求する表現方法です。
ブルータリズムを理解するための要素一覧
ブルータリズムの構成要素を理解しやすいよう、表でまとめました。
| 要素 | 特徴 | 印象 |
|---|---|---|
| フォント | システムフォント、等幅 | 冷たい・無機質 |
| 配色 | モノクロ・原色 | 強い主張 |
| 構造 | 崩したグリッド | 粗さ・野生感 |
| 操作性 | 最低限の誘導 | 自由度が高い |
表の通り、全体として“好きにしていい”という自由さが際立つデザインです。
ブルータリズムが好まれる理由
ブルータリズムは次のような心理的魅力があります。
- 価値観に縛られたくないクリエイターに刺さる
- 情報が強く見えるため、コンテンツ主義と相性が良い
- デザイン疲れしたユーザーに“余白ではない自由”を与える
こうした理由からWeb制作界隈で再評価が進んでいます。
ブルータリズムの歴史と思想

ブルータリズムの起源は、Webではなく**20世紀中頃の建築様式(Brutalism)**にあります。
特にコンクリート打ちっぱなしの建物に代表される「素材のまま見せる」思想がWebにも持ち込まれたことで誕生しました。
この背景を理解することで、ブルータリズムWebデザインの意図がより明確になります。
建築のブルータリズムから始まった思想
ブルータリズム建築は以下のような特徴を持ちます。
- コンクリートをそのまま見せる
- 荒々しい表面処理
- 用途が優先で装飾は排除
これらが**「素材そのものの美しさ」**という価値観を生み出しました。
インターネット黎明期の“素のUI”が原点
初期のWebは制約が多く、デザインは“素”のままでした。
その原始的な質感が、ブルータリズムの再解釈として現代に復活しています。
- HTMLのままのリンク
- System UI
- ボックスが角ばっているデザイン
これらは今見ても強烈な存在感があります。
ブルータリズムが再注目された背景
近年ブルータリズムが注目される理由には、以下があります。
- 均質化したモダンデザインへの反発
- ミニマルデザインの“綺麗すぎる美”に飽きが来た
- 制作者の感情をそのまま出せる自由度
つまりブルータリズムは、現代の“整いすぎたUI”へのカウンターとして存在しています。
ミニマリズムとの違い

ブルータリズムとミニマリズムはよく比較されますが、思想もアプローチも大きく違います。
思想面での違い
両者の思想をまとめると次のようになります。
| 項目 | ブルータリズム | ミニマリズム |
|---|---|---|
| 目的 | 素材の粗さの強調 | 不要を削ぎ落とす洗練 |
| 感情 | 野生・自由 | 静寂・規律 |
| 操作性 | 誘導は最低限 | 極めて丁寧 |
ブルータリズムは“粗さの価値”、ミニマルは“整理の価値”を目指しています。
デザイン面での違い
ミニマルは余白と整列が命ですが、ブルータリズムは逆です。
- ミニマル:整えることで美しさを作る
- ブルータリズム:整えなさで美しさを作る
整列していないようで計算されているという点で、ブルータリズムにも高度なデザイン力が必要です。
ユーザー体験の違い
UXの視点では次の違いがあります。
- ミニマルUX:迷わせない
- ブルータリズムUX:自由に放り込む
ブルータリズムは“雑さ”の中でユーザーが探索する体験を楽しめるデザインです。
ブルータリズムWebデザインのメリット

ブルータリズムを採用するメリットは多くあります。
他のWebサイトとの差別化がしやすい
均質化したモダンサイトの中で、ブルータリズムは圧倒的に目立ちます。
独特の存在感があり、ユーザーの記憶にも残りやすいです。
制作コストを抑えつつ思想を表現できる
装飾を省くため、実装コストを下げながら強い思想性を持たせられます。
クリエイターの個性を前面に出したい場合にも最適です。
コンテンツ主体の表現に向いている
ブルータリズムは文章や作品の「生のエネルギー」を際立たせます。
作品ポートフォリオ・文章サイト・アンダーグラウンド系コンテンツと相性が良いです。
ブルータリズムWebデザインの実装ポイント

思想を理解した上で、実装する際の要点を紹介します。
配色は大胆に、コントラストは極端に
ブルータリズムでは、あえて強いコントラストを使うことがあります。
- 黒×白のモノクロ
- 赤や青の原色ワンポイント
適度ではなく、振り切ることが重要です。
タイポグラフィは“荒さ”を残す
タイポはシステムフォントや等幅フォントを使うとブルータルらしさが出ます。
調整しすぎないことで、情報の生々しさを強められます。
装飾を捨て、構造で魅せる
影・角丸・アニメーションを排除し、レイアウトそのものの力で魅せる設計が基本です。
装飾ゼロで成立するサイトは、逆にデザイン力の高さを証明します。
ブルータリズムと相性の良いジャンル

意外と幅広いジャンルと相性が良いのもブルータリズムの魅力です。
アーティスト・クリエイター系サイト
作品の粗さや熱をそのまま見せたいアーティストには最適です。
写真家・映像作家・デジタルアートとの相性が抜群です。
テキスト主体のメディア
ブルータリズムは文字を強く見せるため、エッセイ・思想系ブログに向いています。
装飾が少ない分、言葉そのものが主役になります。
コーポレートの特別プロジェクトページ
企業サイトでも、特設LPなどで“攻めた世界観”を演出する際に効果的です。
ブランドの個性を強烈に表現できます。
【まとめ】ブルータリズムは“粗さの美学”を楽しむデザイン

ブルータリズムWebデザインは、粗さ・自由・素材感を価値として扱う独自のデザイン手法です。
ミニマリズムとは真逆の方向性ですが、どちらも“削ぎ落とす美学”という点では共通しています。
均質化したWebの中で強い存在感を出せるため、個性を出したいクリエイターに最適な選択肢です。
