Webサイトは、できるだけ多くの情報をわかりやすく伝えるべきなのでしょうか。
もちろん、情報のわかりやすさは大切です。しかし、最初からすべてを説明されることが、必ずしも心地よいとは限りません。
今回取り上げるのは、代々木上原の複合施設「CABO」のWebサイトです。
公式サイト:https://cabo-uehara.jp/
無骨でシンプルなデザインには、Webブルータリズムを思わせる雰囲気があります。無駄なアニメーションはほとんど感じられず、文字の配置や独特の構成が印象的です。
何より魅力的なのは、説明を押しつけられず、自分から情報を探したくなること。
今回は、CABOのWebサイトを通して、説明しすぎないデザインと閲覧者との心地よい距離感について考えます。
シンプルなのに興味を引くCABOのデザイン

CABOのWebサイトは、華やかな演出で目を引くタイプではありません。むしろ、余計なものを削ぎ落とした構成が特徴的です。それでも退屈に感じないのは、文字やレイアウトそのものに魅力があるからでしょう。
文字の羅列が、情報とデザインの両方になる
最初に目を引くのは、独特な文字の見せ方です。
説明文のようにも見えますが、一般的な施設紹介とは少し異なります。文字の配置や並び方にリズムがあり、文章を読むだけでなく、視覚的にも楽しめます。
文字が情報であると同時に、デザインの一部にもなっているのです。
すべてを丁寧に説明しなくても、施設の雰囲気や個性が自然に伝わってきます。
無駄なアニメーションに頼らない
CABOでは、派手な動きや過剰なスクロール演出が目立ちません。
アニメーションが少なくても、構成に個性があれば十分に興味を引けます。
閲覧者は演出が終わるのを待つ必要がなく、自分のペースでサイトを見られます。
動かさなくても魅力的なWebサイトはつくれる。
CABOは、そのことを感じさせるデザインです。
Webサイトにも接客の距離感がある

CABOを見ていて思い浮かんだのは、アパレルショップでの接客です。情報を伝えることと、情報を押しつけることは違います。この違いは、Webサイトにも当てはまるのではないでしょうか。
最初から説明されすぎると、負担になる
お店に入った瞬間、商品の特徴やブランドの魅力を次々に説明されたら、どう感じるでしょうか。
まだ商品を見てもいないのに「これが人気です」「こんな機能があります」と話しかけられると、負担に感じる人もいるはずです。
Webサイトでも同じです。
閲覧者が興味を持つ前から、大量の情報や演出を一方的に提示しても、必ずしも関心につながるとは限りません。
伝えたいことが多いほど、受け取る側の気持ちを考える必要があります。
必要なときに応えてくれる心地よさ
一方で、「ゆっくりご覧ください。何かあればお声がけください」という接客には、適度な距離感があります。
お客様は自分のペースで商品を見て、気になったときに説明を求められます。
CABOのWebサイトにも、似た心地よさを感じます。
最初からすべてを説明するのではなく、閲覧者が興味を持った場所から情報を探せる構成です。
| 接客の考え方 | Webサイトでの体験 |
|---|---|
| 最初から商品の説明を続ける | 情報を一方的に提示する |
| 自由に店内を見てもらう | 自分のペースで探索できる |
| 質問されたら詳しく説明する | 興味のある情報を選んで確認できる |
説明しないことではなく、説明を受け取るタイミングを相手に委ねること。
そこに、心地よい距離感が生まれるのだと思います。
不親切に見えるデザインが、不自由とは限らない

CABOには、一般的な企業サイトとは異なる、少し無骨で自由な雰囲気があります。しかし、見た目の親切さと、実際の使いやすさは必ずしも一致しません。
ブルータリズム的な表現と閲覧者の自由
Webブルータリズムには、装飾を抑えた無骨な表現や、一般的なWebデザインの慣習にとらわれない構成が見られます。
CABOにも、そうした雰囲気を感じます。
ただし、ブルータリズム的な見た目だから使いやすい、というわけではありません。
CABOで魅力的なのは、独特な表現を取り入れながらも、閲覧者が自分から情報へ近づけることです。
不親切に見えることと、不自由であることは違います。
自分で発見することが、楽しさになる
CABOでは、ルームナンバーを選び、そこから施設に関わる人や場所の情報を見ていくことができます。
一般的な記事一覧とは異なり、どこを見ようか考えること自体が体験になっています。
これは、情報が単に隠されている状態とは違います。
閲覧者が興味を持ち、自分の意思で選び、発見する。
情報を受け取るだけでなく、見つける楽しさがあるのです。
【まとめ】説明しすぎないことも、心地よい情報設計になる

CABOのWebサイトは、シンプルで無骨なデザインの中に、文字の面白さや探索する楽しさが詰まっています。
派手なアニメーションで注意を引くのではなく、閲覧者自身の興味を引き出している点が印象的です。
特に感じたのは、Webサイトにも接客と同じように距離感があるということです。
丁寧に説明することが必要な場面もあれば、少し距離を置き、自由に見てもらう方が心地よい場面もあります。
良いWebサイトは、必ずしも最初からすべてを説明する必要はありません。
閲覧者が自分のペースで探索し、知りたいときに情報へたどり着けること。
CABOは、そんな説明しすぎないデザインの魅力を感じさせるWebサイトでした。