ブルータリズムは「尖っているから商業向きではない」と語られがちです。
しかしそれは表層的な理解にすぎません。
問題は好みやセンスではなく、構造的な衝突にあります。
商業サイトが前提としているUX、合意、安心、コンバージョンという仕組みと、ブルータリズムの思想は、設計段階から噛み合いません。
本記事では、ブルータリズムがなぜ商業と相性が悪いのかを、感情論ではなく現象と構造として整理します。
商業UXは「迷わせない」ための設計である

商業におけるUXの目的は一貫しています。
それはユーザーを迷わせず、理解させ、行動させることです。
UXは「理解のコスト」を下げる装置
商業UXは、ユーザーに考えさせないための設計です。
視線誘導、情報の順序、ボタン配置などはすべて、理解のコストを下げるために存在します。
代表的な要素を整理すると、以下の通りです。
- 見慣れたUIパターン
- 予測可能な導線
- 明確な階層構造
これらはすべて、**「ここは安全で、正しく使える」**という無言のメッセージを送っています。
一方ブルータリズムは、
理解しづらさ・読みにくさ・違和感を意図的に残します。
これはUXの失敗ではなく、UXそのものを疑う思想です。
商業は「安心の合意」で成立している

商業において最も重要なのは、感動や驚きではありません。
それよりも優先されるのが、安心です。
ユーザーは無意識に「大丈夫か」を判断している
ユーザーはサイトを見た瞬間、無意識に判断しています。
- ここをクリックしていいか
- 情報を預けてもいいか
- お金を払ってもいいか
これらは数秒以内に処理されます。
| サイトの状態 | ユーザーの判断 |
|---|---|
| 整ったレイアウト | 信頼できそう |
| 見慣れた構造 | 使えそう |
| 明確な導線 | 失敗しなさそう |
商業サイトは、この安心の合意を積み上げるために設計されています。
ブルータリズムはどうか。
不安、緊張、違和感をあえて消さない。
つまり、安心の合意を拒否する設計です。
コンバージョンは「合意の最終形」である

コンバージョンは、ボタンを押す行為そのものではありません。
それは合意が成立した結果です。
CVは納得の積み重ねで起こる
商業サイトでは、以下の段階を踏ませます。
- 内容が理解できる
- 安心できる
- 利用後を想像できる
- 納得できる
この流れが成立して、初めて行動が生まれます。
ブルータリズムは、このプロセスを途中で断ち切ります。
- 想像させない
- 説明しすぎない
- 納得させない
結果として、コンバージョンは起きません。
しかしこれは失敗ではなく、思想通りの結果です。
【まとめ】ブルータリズムは「合意を拒否する思想」

ブルータリズムが商業と相性が悪い理由は明確です。
- 商業は安心と合意の設計
- UXは迷わせないための技術
- コンバージョンは納得の最終形
ブルータリズムは、これらすべてと正面から衝突します。
だから機能しないのではなく、機能させない思想なのです。
