Webサイトを大量に見ていると、ある違和感に気づきます。
多くのサイトは、クリックやスクロールに「報酬」を用意しているのに、ブルータリズムだけはそれを必要としない、むしろ拒絶しているという点です。
この差は、デザイン手法の違いではなく、Webに対する思想とユーザー契約の違いから生まれています。
この記事では、なぜ他ジャンルのサイトは報酬がないと成立せず、ブルータリズムは報酬があると成立しないのか。
その構造的な違いと、ブルータリズム特有の世界観について掘り下げていきます。
他ジャンルのWebは「報酬設計」が前提である

一般的なWebサイトでは、ユーザー行動には必ず理由と見返りが必要とされています。
クリック・スクロール・滞在は、すべて「意味のある行動」として設計されます。
クリックやスクロールは「交換条件」
多くのWebジャンルでは、ユーザーは無意識に契約を結ばされています。
「動いた分だけ、何かを得られる」という契約です。
たとえば以下のような構造です。
| ユーザー行動 | 用意される報酬 |
|---|---|
| スクロール | 情報の開示・答え |
| クリック | UI変化・達成感 |
| 滞在 | 安心感・納得感 |
この報酬が弱いと、サイトは「つまらない」「不親切」と判断されます。
そのため他ジャンルでは、報酬設計がどんどん過剰になりがちです。
報酬設計は「難易度が高い」
報酬を用意するということは、
ユーザーの期待を読み、裏切らず、かつ飽きさせない必要があります。
- 報酬が弱い → 離脱
- 報酬が強すぎる → 嘘っぽい
- 報酬が多すぎる → ノイズになる
このバランス調整こそが、他ジャンルWebの最大の難しさです。
ブルータリズムは「ユーザー契約」から降りている

ブルータリズムは、そもそもこの報酬前提の契約に参加していません。
「期待に応える」という態度そのものを放棄しています。
ブルータリズムにおける報酬は「不安」と「無意味」
ブルータリズムのサイトでは、次のような体験が起こります。
- スクロールしても何も得られない
- クリックしても報われない
- 理解できない構造がそのまま置かれている
しかし、それ自体が設計された体験です。
ブルータリズムにおける報酬は、情報でも快感でもなく、不安・違和感・無意味さなのです。
報酬があると「ブルータルではなくなる」
ブルータリズムに、
- 親切な説明
- 達成感のある演出
- 納得できる導線
を加えた瞬間、それはもうブルータリズムではありません。
報酬がある=ユーザーに媚びた瞬間だからです。
ブルータリズムは、
「理解されなくても構わない」「使われなくてもいい」
という立場を取ることで、成立しています。
【まとめ】報酬を捨てた世界だからこそ成立する思想

他ジャンルのWebは、報酬がないと成り立たない構造をしています。
一方ブルータリズムは、報酬があると成り立たない思想です。
ブルータリズムは、
Webにおけるユーザー契約から意図的に降り、無意味と不安を差し出すことで成立する表現なのです。
それは不親切ではなく、最初から別のルールで作られた世界だと言えるでしょう。
