Webサイトを見ていると、ときどき妙な「圧」を感じることがあります。
デザインの完成度が低いわけではありません。
むしろ、かなり作り込まれている。
アニメーションもある。コピーも強い。実績も並んでいる。
それなのに、
「すごいでしょ?」
と、ずっと目の前で言われているような気持ちになる。
最近いくつかのサイトを見ていて、私はこれを「押し売り感」や「自意識過剰」と感じていました。
もちろん、Webサイトは自分たちの魅力を伝えるための場所でもあります。
では、堂々と魅力を伝えるサイトと、「自分たちを見てほしい」が強すぎるサイトは何が違うのでしょうか。
「魅力を伝える」と「魅力を押しつける」は違う

制作会社やクリエイティブスタジオのサイトでは、自分たちの実力を見せる必要があります。
実績を見せる。
得意な表現を見せる。
どんなチームなのか伝える。
どれも必要なことです。
ただ、それらが強くなりすぎると、サイト全体から**「私たちはすごい」というメッセージだけが聞こえてくる**ことがあります。
興味を持つ前から、魅力を次々と差し出される
BOC Studioを見たとき、私は「押し売り感がある」と感じました。
何かひとつが決定的に嫌だったというより、こちらがまだ興味を持っていない段階から、次々と魅力を差し出されているように感じたからです。
DENMUでは、それがさらに強く感じられました。
実際、DENMUは自社を「digital artisans」と表現し、「iconic」なものを作るという強い言葉を使っています。自分たちの価値を明確に打ち出す姿勢そのものは、一貫しています。
でも、自信を言葉や演出で何度も提示されるほど、私は逆に少し距離を取りたくなりました。
魅力は、たくさん言えば伝わるわけではない。
見る側が自分で「これ、いいな」と思える余地も必要なのではないか。
そんなことを感じます。
閲覧者は、あなたの登場を待っているとは限らない

もうひとつ気になったのが、Webサイトの「登場の仕方」です。
タイトルがゆっくり現れる。
写真がふわっと表示される。
画面が切り替わってから、ようやく内容が始まる。
作り手にとっては、大切な世界観を伝えるための時間なのだと思います。
でも、見る側にとっても、その数秒は同じように大切なのでしょうか。
作り手にとって大切な演出と、見る側の時間
「たぶん大丈夫」というサイトを見たとき、私はタイトルが表示されるまでの時間が気になりました。
写真の見せ方にも独特の空気があります。
それを好きな人もいると思います。
ただ私は、
「なぜ、このタイトルが出るのを私は待っているんだろう」
と思ってしまいました。
ここで感じた違和感は、演出が遅いことだけではありません。
「閲覧者は、この演出を見たいはずだ」という前提を感じたことです。
作り手にとって自分たちのサイトは特別です。
ロゴも、タイトルも、写真も、登場の瞬間まで丁寧に作りたくなる。
でも、初めて訪れた人にとっては、まだそこまで特別な存在ではありません。
作り手にとって重要な登場シーンが、閲覧者にとっても重要だとは限らないのです。
自己表現が強くても、嫌ではないサイトもある

だからといって、自己表現の強いWebサイトが嫌いなわけではありません。
むしろ私は、個性の強いサイトもかなり好きです。
強い色。
大きな文字。
大胆な写真。
独特なアニメーション。
それでも「押しつけられている」と感じないサイトはあります。
見るかどうかを、自分で決められる
今回見たルルルン15周年サイトでは、最初に演出があります。
私は実際に少し待ちました。
でも、そこにはスキップする選択肢が用意されています。
この違いはかなり大きいと感じました。
「これを見てください」ではなく、「見てもいいし、先へ進んでもいい」。
世界観は提示する。
でも、それを体験するかどうかは閲覧者に返す。
以前見たMUSU SAUNAでも、写真やアニメーションはかなり使われていました。それでも私は自然にスクロールを続けられました。
強い表現そのものが問題なのではありません。
自分たちを表現しながらも、見る側の選択や興味が入り込める余白が残されているか。
そこに違いがありそうです。
【まとめ】自信と自意識過剰の間にあるもの

Webサイトは、自分たちを見せる場所です。
だから、自己表現をなくす必要はありません。
「私たちはこれが得意です」
「こんな世界を作っています」
「こんな仕事をしてきました」
堂々と見せればいいと思います。
ただ、その表現の中に、
「当然あなたも興味がありますよね」
という前提が入り始めると、見る側との距離が急に広がることがあります。
興味を持つ前から魅力を大量に見せる。
自分たちの登場を待たせる。
世界観を体験することを当然のように要求する。
そうした小さな積み重ねが、私には「押し売り感」や「自意識過剰」として見えていたのかもしれません。
自信のあるサイトは、自分の魅力を隠しません。
でも同時に、見る側が自分で魅力を発見する余地も残している。
「私たちを見て」ではなく、
「ここに私たちはいる。興味があれば、見ていって」
くらいの距離。
Webサイトに必要なのは、意外とそのくらいなのかもしれません。